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7年前の健康相談 2021(令和3)年 10月3日(日)
何年たっても忘れられない出会いがある。
毎年、毎月、毎週、たくさんの方と会うので、次に会った時に以前のことがなかなか浮かんでこなくて困ることの方が多い。そんな時は、前の記録を頼りに記憶を遡るのだが・・・。
健康相談に来てくれたAさんから、電話がかかってきた。
「Aですが・・・覚えていますか?」
「Aさんですね、覚えています!」
「実は、会社を退職することになりました。次回の健康相談はいつですか?最後に会えたらと思って、電話しました」
Aさんのことは、忘れられない
7年前の健康相談のことだった。忙しい仕事の合間を縫ってきてくれた。
挨拶をした時、ほんの一瞬とても苦しそうな、辛そうな表情を見てしまった。
少しの間、黙っていたAさんから
「こんなところで話すことでもないし・・・わかってもらえるとも思えない・・・」そんな言葉を言われたような気がする。
だがAさんは、深刻な家族の悩みを打ち明けてくれた。よくぞそんな大事な話を私にしてくださったと思う。話すことは、放して、離していくことに繋がる。感情をそのまま放置しておくと、それは時として巨大化してモンスターのように襲いかかってくるからだ。
実は私もその頃、とても辛い時期だったのだ。
家族の介護は様々な感情を呼び起こして、果てしなくどこまでも私の心を揺さぶり続ける。Aさんの言葉は、私の心を波立たせた。私の蓋をしておいた、心の中の鉛のような感情。
Aさんとの会話の詳細は覚えていないけれど、共有した感情の感触は今でもはっきり覚えている。
電話から、Aさんは、困難だった出来事を正面から受け止め、大事な家族を護り、そして最愛の人を天国へとお見送りされたことを話してくださいました。
新しい次へのステージへと進むことになったAさん。年内には、会社へ訪問ができそうです。保健師と相談者という枠を超え、生きていくことの重みを感じさせてくれた出会いに感謝しています。