希望に満ちた令和2年、どんな春がやってくるのだろう・・・。寒かった頃、とっても待ち遠しかった。
桜の満開が過ぎ、銀杏はみずみずしい緑の芽が出てお日様の光にきらきらと輝いている。新緑の季節に向かい、吹く風は爽やか。
しかし、今私たちは見えないウイルスにとても困惑している。戦っている。挑んでいる。
いつの時代も、人類は英知を結集して幾多の困難を乗り越えてきた。逞しく、しなやかに次の世代に橋渡しをしてきた。必ずや、この危機を越えて新しい世界が来ることを信じてやまない。
学生時代に「疫学(1)」を学んだ。衝撃的だったのは、有名な「コレラ伝搬の解明」。
1854年に夏にロンドンでコレラが流行した。
まだコレラ菌の発見される30年前の出来事なのだが、医師のJohn Snou:1813-1858は、発生地図の作成や、死亡者と井戸の関連、症例の検討から、原因は井戸水であることを推定し井戸を使用しないように周知したことで、大流行を未然に防いだ、というお話。まるで推理小説のようで、なんという面白い学問かと思ったものだ。
出来事と疾病の因果関係が明らかになれば、予防ができる。保健師になって、社会に役立つ健康を考えていくベースはここにあるのだとワクワクしたことを思い出す。
今回の新型コロナで、大学院で疫学統計を専攻したときに教授の推薦した書籍を思い出し、読み返してみた1冊「推理する医学Ⅰ・Ⅱ―Berton Roueche」(この書籍の翻訳は、初めてハンセン病の歴史を執筆された山本俊一医師:1922-2008)
その後、4月12日の読売新聞の「新型コロナ読書対談」というページで、1922(大正11)年に日本の内務省衛生局が出した『流行性感冒「スペイン風邪」大流行の記録』が紹介されました。100年前に記録された貴重な調査報告で、当時の流行の状況や予防、病理等について書かれており、4月30日までインターネットで無料公開でした。450頁ほどあり、言葉が難解で苦労しました。当時の対策が詳細に調べられ書かれています。予防教育のポスターも今に通じます。当時はネットもない計算機やコピーもない時代なのに、海外の情報もありただただ驚きでした。
読みながら、どんな時代にも医療危機に対して悠然と立ち向かう人々がいたこと、後世に伝えるために、生きて語っているかのようなエネルギーが迫ってくるのを感じました。現在もたくさんの医療関係者、研究者が夜を徹して現場で対応に当たっています。その方々に思いを向けなければと感じます。
いろいろな職場で、立場で私たちはそれぞれのミッションを持ちながら働いている。人と組織の健康を創り支援をしていく思いを、改めて強く感じる今日この頃です。
緊急事態宣言も延長の可能性が高くなりました。
Stay Home・・・「家にいることで、私たちは社会の役に立っている」
1)「明確に規定された人間集団の中で出現する健康関連のいろいろな事象の頻度と分布およびそれらに影響を与える要因を明らかにして、健康関連の諸問題に対する有効な対策樹立に役立てるための科学」日本疫学会 https://jeaweb.jp/glossary/glossary001.html

推理する医学