そんな私が一番勇気づけられたのは、仕事・・・事業所の健康相談でした。精神状態は最悪だったのに
「待っていたよ」「話が聞けて安心したよ」という言葉でした。でも、本当の真実は「逆だった」のです。ぼろぼろの精神状態だったのに、私の話を聞いてくれてどんなに嬉しかったか、健康相談をしているのではなく、私が健康相談をしてもらっていたのです。思いを話すことができる、その思いを聞いてくれる・・・
人はひとりでは立ち直れない、人は人に逢い、ゆっくりと傷が癒されていくのだと心から感じました。
この先、暗闇から這い上がることなんてできない、昔のように元気な自分には戻れない、と思っていた心がゆっくりと変化してきたことに、もう一人の自分が驚いていました。夫や周りの状況が変わらないのに、私の心が変化したのはなぜだろう・・・。 捉え方がどうして変わったのだろうか。その思いが、心理学を学ぶきっかけになりました。
その学びがベースになり、仕事の悩みをもう一度真正面から考えたいと思うようになり、大学院での研究テーマ「労働パフォーマンスとストレスの関連、および経済的視点」となりました。そんな私に対し、夫はリハビリをがんばり、絶対にあきらめない、泣き言を一言も言わない姿でずっと支え続けてくれました。
誰もが、どの場所でも、どのような状況でも生きる価値、強みがあることを感じました。その価値や強みは、私たち家族を強い絆で結び、最後まで弱音を吐かず、7年半の闘病の末に夫は旅立ちました。